HOME > 緑化樹木供給・技術情報 > 価格情報 > トピックス

緑化樹木供給・技術情報

価格情報<平成29年度>

トピックス・ 認知症ケア施設の屋外スペース改造の意義

 PDFアイコン PDF 1.5MB

 

 

価格情報<平成28年度>

トピックス・ キャンペーン「灰色の英国を緑に」

 

王立園芸協会(RHS)による前庭の舗装を植物が育つ空間に変えるキャンペーン「灰色の英国を緑に(Greening Grey Britain:GGB)」を紹介する。

 

ホワイトバークパイン

図1 前庭の舗装等の比率(2005年と2015年)

 

ホワイトバークパイン

図2 前庭の緑(芝生、樹木)の比率(2005年と2015年)

前庭の状況

RHSは英国内の住宅前庭で舗装化が進み、植物の育たない空間となっていることに警鐘を鳴らした。

RHSの調査委託を受けたMori Pollsは、15歳以上で前庭を持つ人を対象に2005年(1,723人)と2015年(1,492人)を比較した状況について、次のことを明らかにしている。

10年前に比べ100%舗装された前庭は3倍に、面積で約3,900ha増えている。英国にある前庭のほぼ4つに1つは全面舗装されている。舗装していない前庭の数はこの10年間で半数となる(図1)。全面舗装の前庭が際立って増えていることが最大の問題である。

一方、英国にある前庭のおおむね3つに1つは植物がなく、10年前に比べると植物のない前庭の数はおよそ3.5倍となる。100%植栽されている前庭は3分の1以下に減っている(図2)

 

GGBの展開
写真1

写真1 コミュニティの道沿いの
灌木花壇

 

図3 1台分の駐車スペースのある
小さな前庭

RHSは国民の暮らしや野生生物の営みを大気汚染や熱波から和らげ、家屋を洪水から守るため、舗装化の流れを逆転させることが重要であると確信している。

GGBキャンペーンは、生きものと環境を豊かにするため、国に対して固く冷たい灰色の場所を植物の育つ美しい空間に転換することを求める個人の行動を呼びかけている。

RHSは2017年末までに6,000か所の灰色空間を植物の育つ場所へ転換する目標を掲げて参加を呼びかけ、現時点で1,602か所で実現している。

 

前庭の植栽

参加希望者は、GGBのウェブにある植栽の約束(Promise to plant)というページを開き、植栽場所(自分の庭かコミュニティの場所か)、氏名、Eメールアドレスを入力して参加の意思を表明する。植栽の種類として、コンテナ、灌木、花壇、ツル植物、樹木についての解説が示されている。樹木・灌木の植栽を例にすると、いつ植えるか、どうのように植えるか(植える場所の準備、植える手順)、維持管理(灌水、除草、マルチング、施肥、剪定)、留意点などが説明されている。

 

参考となる情報として、なぜGGBが必要か、植栽事例ビデオ、植栽デザイン事例、植栽(実際の考慮点、ふさわしい植物)、さらに、駐車スペースなし、1台分、2台分の3パターンについて植栽例を示すリーフレット・前庭ガイド(Front garden Guide)が掲載され、植栽の要点を解説している(図3 ※駐車場の砂利敷や植栽は一体となり雨水を吸収する。植物、とくに樹木は汚染物質を濾過し、野生生物に隠れ場所を与え、目を楽しませる

 

自分の場所を緑の空間に転換した参加者は、ツイッターで感想を#GreeningGreyBritainに、写真をfacebook.com/rhscommunitygardeningに投稿することにより、GGBの用語を広めることに協力している。

個人の行動に働きかけて緑を回復し、暮らしを、野生生物の営みを豊かにする発想は、成熟する園芸文化の中から生まれる、英国ならではの取組といえる。

 

英国の園芸事情

英国の成人の3分の2以上は毎年ガーデンセンターを訪れる。英国の国内にある庭の総面積はサマセット州全体(4,171km2)とおおよそ同じと言われる。英国の平均庭面積は14㎡、年代別では、45歳以上の平均庭面積15㎡が25〜44歳の平均12㎡を上回る。

園芸取引協会(Horticultural Trades Association)の調査3)によると、英国の園芸植物の2013年の市場規模は4,366億円、内訳は花壇苗43.5%、園芸植物・樹木32.0%、種子・球根24.5%となる(図4)。2012年と2013年は天候の影響により減少し、2013年は春先の寒さにより花壇苗の消費が他の植物に比べ伸び悩んでいる。

 

ガーデン資材・用具の2013年の市場規模は、4,648億円、内訳をみると芝刈り機27.9%、コンポスト25.7%、肥料・除草剤19.6%の順に多い(図5)。2012年に比べ幾分総額が伸びているのは、気温の高い夏が続き人々が庭仕事を楽しんだことによる。

園芸植物と資材・用具を合わせた英国の市場規模は、4,348億円となる。

 

図4 園芸植物の市場規模(単位:億円)

図5 ガーデン資材・用具の市場規模(単位:億円)


 

  出典: 1) RHS(2015):Why we all need Greening Grey Britain、pdfファイル
    2) RHS:Greening Grey Britain - Community Action,
https://www.rhs.org.uk/communities/campaigns/greening-grey-britain
    3) Horticultural Trades Association(2014):Garden Retail Market Analysis 2014 KeyPoints Report、pdfファイル

 

 <平成25年度>トピックスをみる

 <平成23年度>トピックスをみる

 <平成22年度>トピックスをみる

 <平成21年度>トピックスをみる

 

このページのトップへ