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園芸セラピー Horticultural therapy
当センターは、1980年代後半から海外における緑化動向を把握するためにいくつかの調査を進めたところ、そこに登場してきたのが「園芸療法(Horticultural Therapy)」という概念でした。
そこで、1992年に各国における園芸療法の現況調査を実施し、『ホーティカルチュラルセラピー(園芸療法)現状調査報告書』をまとめました。 調査の取りまとめにあたり、改めて以下のことを認識しました。
(1)健常者ばかりでなく、高齢者や障害者に配慮した緑地づくりが必要である |
(2)多くの高齢者や障害者をかかえる社会となり、緑化分野からも積極的な対応が望まれる |
(3)園芸療法士という職能の育成システムを確立することができれば、緑化分野に新しい人材を呼び込む 有力な手段となる |
当センターが2008年まで積極的に継続した園芸療法への取組
年 | 取組 |
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1993 | ダイアン・レルフ博士(バージニア工科・州立大学園芸学部)らを招き、わが国で初めて 園芸療法の講演会を行う。また、主に身体障害者が植物や園芸を楽しむフィールドづくりの設計のポイント、参考となる庭園タイプを解説する、『Gardens for Everybody −ホーティカル チュラルセラピー実践のための庭づくり−』(1993年8月)を制作。 |
1994 | 第24回国際園芸学会議(京都)のあと、ダイアン・レルフ博士、ジェーン・ストーンハム(イギリス:レディング大学園芸学部講師)らによる、園芸セラピー・ワークショップを実施。 |
1995 | 園芸療法という言葉が、『イミダス』などの現代用語解説に登場し、様々なメディアに取りあげられたことから、多くの人々の注目と関心を引き起こす。 |
1995 | 「園芸セラピー研究会」を発足。人々が健康に、楽しく生活するための多くの手がかりを秘める園芸、それを効果的に応用する園芸療法の可能性をさらに学び、様々な分野へ普及し、有効な活用をはかることをめざす。 |
1995 〜 2001 |
研究会は1995〜2001年までに42回実施。 |
海外研究ツアー関連報告書
作成年 | 報告書名 | 内容 |
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1995 | イギリスにおける園芸セラピー | 園芸セラピー(HT)の成立過程、適用分野、人材育成、HTの効果、主な組織・施設 |
1996 | アメリカにおける園芸セラピー | HTの概観、推進する組織・施設、園芸療法士の育成、癒しのランドスケープ |
1997 | アメリカ西海岸・カナダにおける 園芸セラピー |
HTの推進組織・施設、主な施設 |
1999 | アメリカ・カナダにおける 園芸セラピー |
アメリカ編:ミゼリコルディア・ハート・オブ・マーシー、シカゴ植物園、ガッフィールドパーク・コンサバトリー・アライエンス、ミネソタ大学ミネソタ・ランドスケープ樹木園など8施設。 カナダ編:ホームウッド・ヘルスセンター、ベイクレストセンター・フォア・ゲリアトリック・ケアなど3施設。 |
2000 | イギリス・オランダにおける 園芸セラピー |
イギリス編:メトロポリタン・ハウジング・トラストの園芸スキーム、ベルズピース・チェシャーホームの園芸プロジェクトなど5施設。 オランダ編:視覚障碍者の学校バルティメウスのスチューデント・ガーデンなど4施設。 |
園芸療法関連書籍
これらは当センターのブックショックで販売しています。
報告書名をクリックいただくと、詳細ページ(目次等)がご覧いただけます。
作成年 | 報告書名 | 内容 |
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1997 | 園芸療法実践のためのガイド | ダイアン・レルフ博士の論文、アメリカ園芸療法協会機関誌の掲載論文、シカゴ植物園の40種類のレッスンプランについて日本語訳を掲載。 |
1998 | 園芸療法と高齢者 | アメリカ園芸療法協会監修Horticultural Therapy and the Older Adult Population(1997年)の日本語訳。生活の質の向上に寄与する住居景観の形成、介護型老人ホーム、長期ケア施設における事例など11のテーマ から構成。 |
当研究会の活動は、2008年4月に開催した園芸セラピーシンポジウム「園芸療法のさらなる展開を考える」をもって、一区切りをつけました。
現在、緑化・造園、園芸、教育、福祉、医療の関連する分野で園芸療法への取組が芽生え、園芸療法学会も設立され、着実に根を伸ばしつつあります。