はじめにわが国の家畜飼養数は平成11年、牛(乳用+肉用)463万頭、豚994万頭、平成11年鶏(採卵鶏+ブロイラー)2億9,655万羽の内訳となる。例えば、牛1頭当たり1日平均約16kgのふんを排泄するので、年間の牛ふん総量はおよそ2,700万トンにのぼる。 これら膨大な家畜ふんは、堆肥化が最も一般的な処理方法であり、特殊肥料の中で家畜ふんを主原料とする「堆肥」と「家畜及び家きんのふん」の年間生産量は338万トン(平成8年)である。農業生産活動だけでは、これらの堆肥を消費できないことから、農業以外の分野での消費拡大を模索しなければならない。 畜産をめぐる最近の情勢は、平成11年に環境3法といわれる「家畜排せつ物の管理の適正化と利用の促進に関する法律」「肥料取締法の一部を改正する法律」「持続性の高い農業生産方式の導入に関する法律」が成立したことから、今後野積み状態の堆肥管理は規制を受け、かつ品質表示が義務付けられるなど、家畜排せつ物を農業資材として適切に利用する流れを積極的に成立させる背景が整った。 一方、近年の公共緑化事業に目を向けると、建設省のグリーンプラン2000に示されているように、緑のリサイクルを重要課題の1つとしている。「植物発生材堆肥化の手引き」(建設省監修)などが作成され、街路樹剪定枝のチップ化や堆肥化が進められている。さらに、下水汚泥の土壌改良材化、食物残滓の堆肥化など、これまで埋め立て・焼却などの処分対象としてきた様々な廃棄物を、資源化できるものは極力資源化を図る方向に転換している。 家畜ふんの堆肥化処理は環境保全を増進し、健康な畜産物づくり、耕種農業や緑地づくりを促進・支援するものとなる。農業生産活動の中では循環しにくくなった家畜ふん資源化の流れを、農業関連分野、さらには緑化事業分野なども合わせて循環できるしくみづくりを構築することが、21世紀の循環型社会を目指す上でより大きな課題となる。 このパンフレットは、「都市部等における堆肥利活用促進事業調査報告書」(平成11年度)をもとに、家畜ふん堆肥の供給状況、緑化樹木・山林種苗生産における需要状況、およびそれらにもとづく家畜ふん堆肥需要拡大の課題について要約したものである。 |
|||
|